日本盲教育史研究会

掲載:2015年12月13日

最終更新:2015年12月13日

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「第3回ミニ研修会 in 札幌」開催のご報告

大成功だった第3回ミニ研 in 札幌

日本盲教育史研究会会長 引田秋生

 今回の成功の要因は何と言っても現地実行委員会の周到な準備が挙げられます。北海道視覚障害教育史懇談会の伊藤会長、前佛事務局長をはじめとする実行委員の皆さん、そして、講演の佐藤忠道氏と発表者の3人の校長経験者。また、実行委員会と共にオプショナルツアーの支援をしていただいた北海道盲学校退職校長会の皆さん、関係者全ての方々の連携が上手く取れていて札幌のミニ研を成功させるのだとの気迫が伝わってきました。

 このことは第一に研究会の講演・研究発表において顕著でした。謎の多い盲学校、まぼろしの盲学校と言われる「北盲学校」をはじめとして「北海道の盲・聾唖教育の形成過程〜戦前期の盲教育を中心として〜」と題した講演は、豊富な資料による実証的な研究で正にタイトルの内容が鮮やかに浮かび上がってくるようでした。パワーポイントも非常にわかりやすく工夫されたものでした。その後の三つの発表が「函館盲とシャーロッテ・P・ドレーパー」、「旭川盲学校と南雲総次郎」、「帯広盲学校と岩元悦郎」で、これらもたくさんの資料をもとに発表されました。

 講演とこの3本の研究報告により、北海道の盲教育の歴史が重層的立体的に把握できるような思いがしました。更に、今回特徴的だったのは、発表の中で点字盤や計算器という教材や指導法が初めて取り上げられた点です。研究分野の一つとして今後も継続されていくことを期待したいと思います。

 もう一つは、ろう者の参加が10名ほどあり、戦前の聾唖教育を巡って研究交流が出来たという点です。研究報告者が、北海道のほとんどの盲学校を経験しているのも北海道ならではのことでしょう。その点では視覚障害教育に対する専門性の共通基盤があり、県(道)独自で盲教育史に関する研究会を定期的に開催しているのは北海道の他には見当たりません。

 さらに、会場として、この4月に創設されたばかりの北海道札幌視覚支援学校をお借りできたのが幸いでした。校舎見学の機会までご快諾くださいました。石川大校長をはじめ、当日も多くの先生方が研修会を支えてくださいました。ありがとうござした。全国の盲学校の施設から学んだというお話の中に日本の盲教育の歴史を感じるとともに、最新の工夫を加えられた施設・設備に感嘆しました。

 第二に、懇親会にも多くの参加者があり、全員が感想や近況等話し、聴くことができました。懇親会の性格上、賑やかになってくるとどうしても集中することが難しくなるのですが、場所を変えての研究会、ざっくばらんに本音を語る場面や、源氏物語の草書体の浮きだし板を使っての「実験コーナー」も開設されるなど、活気のある懇親会でした。

 第三に、バスを借り切ってのオプショナルツアーがあげられます。日点の創立者本間一夫の生家を訪ねる一日の旅行。生家のある増毛を訪ねたくても遠距離故になかなか実現できないツアーが今回実現しました。しかも、車内は、酒井宏三氏の本間一夫に関する三択のクイズ。楽しみながら知識を確認している間に増毛に着くという何とも絶妙なおもてなし。正に充実した二日間だったとの感想が多くの参加者から異口同音に聞かれました。ご協力くださった旧商家丸一本間家の皆様にお礼申し上げます。

 更に、これは全く個人的なことでしたが、エロシェンコと友人であった北海道出身の新津吉久の足跡を訪ねてみようと小樽盲唖学校跡地を訪ねてみる予定でした。第三日目に一人で出かけるつもりでしたが小樽盲学校勤務経験のある酒井宏三氏が伊藤勇氏と樋原理恵氏と共に案内して頂けることになったのです。何と研究発表者全員と共にタクシーで半日小樽市内を回るという贅沢なフィールドワークとなりました。小樽盲唖学校跡地では近所に長く住む当時のことを覚えている人に偶然出会ったり、小樽総合博物館運河館では、大正時代の盲唖学校が明記された地図、校舎の写真も手に入れることができました。個人的にも十二分に充実したものとなりました。

 最後になりましたが、北海道の実行委員会の皆様と盲学校退職校長会の皆様、そしてご多忙の中、本州から馳せ参じた会員の皆様に心から御礼申し上げます。


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英語:Japan Society on the History of Blind Education

エスペラント:Japana Societo pri la Historio de Blindul-Edukado(ヤパーナ ソツィエート プリ ラ ヒストリーオ デ ブリンドゥール・エドゥカード)

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