掲載:2017年11月04日
最終更新:2017年11月04日
案内終わり♪
本年のミニ研修会が、5月21日(日曜日)に金沢で開催されました。企画から運営まで行き届いた配慮とご尽力をいただいた松井先生をはじめ地元の皆様、また遠方にもかかわらず足をお運びいただいた会員の皆様にあらためてお礼申し上げます。
ミニ研修会は今年で5回目を迎えました。浜松から始まり、兵庫、北海道、九州へ、そして今回は北陸ということで、結果として大きく日本各地を巡回しています。これは盲教育が地域に根ざした歴史を持ち、さらにその歴史を掘り起こしてきた皆様がおられたからできたことです。これからもミニ研を通して地域の歴史が共有できることを願っています。
さて、金沢と言えば加賀百万石の城下町。私も金沢を何度か訪れたことがありましたが、今回はメジャーな観光とはちがう盲史研ならではの企画です。
第1部がランチョンセミナー。充実した1次案を提案してくださった松井先生には大変申し訳ないことでしたが、運営委員会としてミニ研修会軽量化の試みを始めたところでした。限られた時間を有効に使うため、運営を工夫し、内容を精選していただきました。そこで選ばれたのが「竹川リンと支えた人々」というテーマです。竹川リンはおそらく金沢でも知る人の少ない、私たちも松井先生の著書で初めて知った全盲女性です。幕末から明治の金沢で、母を支えて慎ましく生きた彼女が難病を得て死に臨んだとき、なぜ「篤志解剖」という道を選んだのか。講師の庄田望氏は、金沢部落史研究を通じて出会ったリンの決意と、これを支えた松江医師の思いを、背景としての啓蒙思想の息吹、その中での金沢医学館の役割にも触れながら解き明かされました。リンを主人公に小説を執筆中とのことでしたから完結が待たれます。
もうひとつのテーマ「奥村三策の偉業及び道を開拓した石川県の視覚障害者達」は、松井先生ご自身に講演をしていただきました。このテーマは秋の総会・研究会でさらに深められますのでご期待下さい。参加者のため用意いただいたCDには、奥村三策作詞、鈴木米次郎作曲の「杉山検校を讃える歌」が収録されています。他にも貴重な音源が収められていますのでご紹介します。
午後からは2台のバスで、竹川リン顕彰碑、松江老医有道碑、金沢医学校(兼六園内)、奥村三策頌徳碑を巡回しました。記念碑はそこで顕彰される人や事象とともに、その碑を建立した人々自身の思いを刻みます。リンの顕彰碑は、一度打ち捨てられたものが再建されたと聞きました。真新しい碑を見ながらセミナーの講話と結びつき、川のせせらぎとともにこれまで知らなかった金沢を感じることができました。松江医師の顕彰碑(有道碑)は、金沢市に隣接する松任市の東明小学校校庭脇にあります。彼が地域で慕われていたことを思わせる堂々としたものでした。
兼六園内の金沢医学校の建物は、観光客の賑わいから離れた静かな佇まいの中で歴史を伝えていました。この後、バスは卯辰山に向かいます。ここは金沢城から卯辰(東)の方角にあることから名付けられたそうですが、金沢城下を一望できる歴史公園です。ちょうどこの日高校相撲の全国大会が卯辰山相撲場で行われていました。三策の碑は地元の鍼灸マッサージ師会が管理され、毎年参拝されているとのことでした。
横浜から三策のお孫さんにも参加いただき、一緒に頌徳碑に触れることができたのは格別なことでした。
講話とフィールドワークが深く結びつき、懇親会もその余韻の中でなごやかに行われました。金沢の皆様には最後まで気配りいただき、ありがとうございました。
次年度以降のミニ研修会はまだ何も決まっていません。フィールドワークを中心にした地域の企画を募集しています。来てほしい、行きたいといったアイデアをお寄せください。
本文ここまでです。
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英語:Japan Society on the History of Blind Education
エスペラント:Japana Societo pri la Historio de Blindul-Edukado(ヤパーナ ソツィエート プリ ラ ヒストリーオ デ ブリンドゥール・エドゥカード)
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