日本盲教育史研究会

掲載:2015年03月01日

最終更新:2015年03月01日

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会長挨拶バックナンバー(2015年03月01日から)

ようこそ「盲史研」ウェブサイトへ ――盲史研発足の頃と3年の歩み――

日本盲教育史研究会会長 引田秋生

引田秋生会長

 日本盲教育史研究会は、2012年10月13日、東京の日本点字図書館において、発足総会、第1回研究会を開催しました。そこにこぎ着けるまでには、毎日新聞社、筑波大学附属視覚特別支援学校、桜雲会の会議室をお借りして5回に及ぶ準備委員会を開催していますが、当時、点字毎日編集部次長であった野原隆さんの存在がなければこの研究会の発足はもっと遅くなっていたかもしれません。準備会では京都府立盲学校の「京盲文書」をはじめとする膨大な資料、更に筑波大学附属視覚特別支援学校資料室の明治期の資料、同窓会誌「むつぼしのひかり」をはじめとするこれまた多くの資料を相互に見学する中で、両校以外にも残されている各地の盲学校の資料の保存と活用を進めていくことの必要性が話され、そして、時あたかも、特別支援教育に転換した後で、視覚障害教育の専門性の継承・発展が声高に叫ばれ始めていた時期でした。盲教育だけでなく福祉分野等もカバーしながら、学会という固苦しい組織でなく、市井の歴史研究家も含めて誰でも参加しやすい緩やかな研究会としようということになりました。主として日本の明治期以降の歴史を研究することにより、今後の盲教育の方向を示唆するものが少しでも得られるのではないかという期待を抱いて発足しました。

 第1回(福山市立大学教授中村満紀男先生)及び第2回研究会(四天王寺大学教授愼英弘先生)の記念講演は研究会のスタートにふさわしいタイムリーな内容で参加者に勇気を与えるものでした。会報第1・2合併号に講演の詳細が報告されていますので是非読んでいただきたい内容です。そして、それぞれの研究会の翌年5月に開催されたミニ研修会は、参加者こそ大会には及ばないものの、内容的には大会に匹敵するほど充実したものでした。浜松では、「愛情の庭」の著者の高橋タカ子さんと東京盲学校卒業生の相原夏江さんから直接お話を伺うことができ、日本点字の翻案者・石川倉次の足跡をたどりました。神戸では木下和三郎と左近允孝之進の再評価について4人の報告者が連携して熱く語っていただきました。大会やミニ研修会の間に開催される運営委員会についても触れなければなりません。会議の時間の半分の2時間を情報交換に充て、各委員が取り組んでいることや関心を抱いていることを報告する時間にしました。これが、毎回、結果的に研究会のようになり、その中から、『愛情の庭』の復刻出版も生まれました。

 2014年10月には筑波大学東京キャンパスにて第3回研究会を実施しました。従来の2回の大会は半日だったものを、全日の開催としました。その結果、若手の研究者から中堅・ベテランの研究者まで幅広い発表があり、内容的にも、「戦後の全点協運動の歴史」「点字尋常小学読本の書誌について」「仏眼協会盲学校」「盲ろう教育・福祉」「小杉あさ」から「小西信八」まで多彩なものとなりました。特に今回の特徴として、異分野(言語学、日本文学等)の方々との交流から新しい視点での共同研究の方向や、近代のみならず、近世にまでも研究範囲を広げたらどうかとの提案など、新たな動きがあったことが挙げられます。準備会の発足から数えて正味3年目を迎えた研究会が新たな方向に向かっ て動き出す転機になったとも言えます。

 また、この大会を機に、北海道で第3回ミニ研修会をの声があがりました。その後、北海道視覚障害教育史懇談会の皆様によって着々と準備が進んでいます。その中心となっておられる伊藤勇氏、前佛誠氏に感謝する次第です。オプショナルツアーで本間一夫の生家を訪ねる件では、北海道盲学校退職校長会の援助を受けて準備をすすめているとのこと、恐縮に思いつつ感謝申し上げます。神戸のミニ研に続いて成功すること間違いなしと期待しています。

 国際交流でも大きな動きがあります。昨年、本会事務局長の岸博実氏がフランスの研究会に招待され、日本の盲教育について報告してきたことは記憶に新しいことですが、昨年に続いて今年6月ロンドンの Royal Holloway 大学で開催される研究会 Blind Creations Conference に招待されています。同じ研究会で本会会員である半田こづえ氏(明治学院大講師)も視覚障害者の美術鑑賞について発表することになっています。昨年は国際交流の「萌芽」と書きましたが、いよいよ双葉が開き始めたとの感を抱いています。

 国際交流といえば、研究会ではありませんが、視覚障害者国際スポーツ大会で、本会会員の青松利明氏と江村圭己氏(両氏とも筑波大学附属視覚特別支援学校教員)が、5月に韓国のソウルで開催される国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)主催のIBSAワールドゲームスソウル2015ボウリング競技に参加します。両氏とも過去の国際大会で優勝するなど実力のあるベテラン選手です。今回青松氏は大会技術委員長として競技運営の責任者として参加します。江村氏は日本代表選手として出場し、今大会でも大活躍が期待されています。第三回研究会で転機を迎えた本研究会が更に多彩で幅広い研究活動に拡大していく動きの一環としてこれらの成果に注目していきたいと思います。

 皆様のご理解とご協力により、盲史研も170名を超える会員を有する研究会となり、このウェブサイトのオープンを機に多くの方々が、盲史研に関心を持っていただき様々なご意見や情報をお寄せいただくことを期待しております。

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英語:Japan Society on the History of Blind Education

エスペラント:Japana Societo pri la Historio de Blindul-Edukado(ヤパーナ ソツィエート プリ ラ ヒストリーオ デ ブリンドゥール・エドゥカード)

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