掲載:2019年08月12日
最終更新:2019年08月12日
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第7回ミニ研修会は、東京都墨田区の江島杉山神社を会場に、鈴木孝庸先生のご講義とフィールドワークを柱に行いました。
昨年10月の第7回研究会では、「視覚障害者の職業問題を考える」をテーマに、鈴木孝庸先生に「平家を語る琵琶法師」という講演と平家琵琶の演奏をしていただきました。
中世以来、日本の視覚障害者は職業集団としての「座」を形成して、平曲をはじめ、三絃・箏曲や鍼灸・按摩などの技芸を伝承してきました。芸の伝授も教育であるとするならば、まさに当道座は日本の盲教育の原点であるとも言えるでしょう。
今回、盲人の職業の伝統とその集団についてさらに理解を深めるべく、再び鈴木先生にお願いし、「平家琵琶と当道座」の題目でご講義をいただきました。
講演のあと、昼食休憩をはさんで自由討議となりました。現在の私たちが考えている当道座のイメージは概して江戸時代のものですが、中世に盛んであった平曲が衰退して座の性質も変容を遂げてきていること、座の中には弱視者も存在し、平家の「本」を読むことのできた人もいたであろうことなど、予定していた時間いっぱいまで活発な質疑・討議が行われました。
また、神社の社宝である琵琶「
琵琶の蓋に書かれた由来によると、寛政年間に松浦検校が所蔵していたこの楽器は、その後、薩州公から麻岡検校を経て福住検校の所蔵となり、福住検校が江戸惣録に就任したことを機に、当社に寄進されたということです。
討議終了後は、東京両国周辺のフィールドワークを行いました。心配された雨も上がり、予定していたコースを回ることができました。
江島杉山神社からスタートして、点字の碑文「杉山検校頌徳碑」、「岩屋」などを見学しました。江戸時代の古地図によると、境内には現在よりももっと広い池があり、境内の一角には鍼治講習所があったとのことです。また、神社の東側には広大な惣録役所があったのですが、現在は住宅地となっています。
続いて、江島杉山神社から東へ歩いて10分ほどの弥勒寺で、五輪塔の「杉山和一の墓」と、五角形の台座に六角柱の塔を乗せた形の「はり供養塔」を見学しました。
さらに、勝海舟(曽祖父は有名な米山検校)の生誕の地である両国公園、赤穂の遺臣が討ち入りをした吉良上野介の屋敷の跡の一部である本所松坂町公園、江戸勧進相撲ゆかりの地である回向院などを散策し、往時に思いを馳せながら実り多い一日となりました。
盲教育史というと、明治の初めに京都や東京築地で始まった学校教育のことばかりをイメージしがちでしたが、今回のミニ研修会のテーマはその源流を数百年もさかのぼるものとなりました。無名の篤志解剖の全盲女性を取り上げた一昨年の金沢、点字ブロックの講話と現地見学を行った昨年の岡山に続き、盲史研が対象とするフィールドもますます広がってきた感があります。
本文ここまでです。
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英語:Japan Society on the History of Blind Education
エスペラント:Japana Societo pri la Historio de Blindul-Edukado(ヤパーナ ソツィエート プリ ラ ヒストリーオ デ ブリンドゥール・エドゥカード)
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