案内終わり♪
速いもので、今年も既に2ヶ月近くが経とうとしています。その間、立春を過ぎてから日本列島を襲った超一級の寒波は、各地に大雪の被害をもたらしました。中には被害に遭われた方もおられるのではないかと思われます。心よりお見舞いを申し上げます。
さて、盲教育史研究会も10周年の節目から、既に2年以上が経ちました。記念に発刊した「百触の旅」も大好評で、皆様の要望に応え作成した第2刷もこの1月、ほんの2週間足らずで、頒布を終了するという状況でした。この記念誌は、これまでに全国各地で行なわれた「ミニ研修会」を中心にまとめたものですが、視覚に障害がある方が、物に触れて外界を認知するという行為と、全国各地の人々や風土や文化、そして実物に触れて、「視覚障害教育の歴史を振り返りたい」という想いから命名しました。皆様方の関心の高さと御理解の深さに改めて感謝する次第です。
また、昨年の総会決議により、運営委員に3名の方が加わりました。早速、斬新な視点で本会の運営に携わってくださっています。これも新しい動きとして大変喜ばしいことです。更に、本会ウェブサイトも2月1日に開設10周年を迎えました。開設当初は、1ヶ月の訪問者数が1000人前後で、1日の訪問者数は、30〜40人程度でしたが、最近は2500人前後、1日80人〜90人程度で推移しています。昨年の9月8日には、開設当初からの訪問者数が20万人に達しました。今年の1月は3458人もの訪問者数があり、皆様方の興味・関心が高まり、本会に寄せる期待の大きさを嬉しく思っております。
さて、今年はルイ・ブライユが点字を考案してから200年に当たる記念すべき年です。全国各地で、それぞれ記念の行事や催しが行なわれるものと期待しております。私達の研究会も点字に関する題材を中心に、昨年の研究会で継続的に議論したいという要望が出された「視覚障害教育の課題にどう向き合うか」という視点を踏まえつつ「点字考案200年」という年に相応しい研究会にしたいと考えております。
私もこれを機会にブライユに関する資料を再読しました。点字の考案に際しては、ブライユの天才的ひらめきがあったことは勿論だと思いますが、大変な困難を乗り越え、視覚障害者の公認文字として、世界へ広まっていったのには、多くの方の力添えがあったことを痛感します。『ルイ・ブライユの生涯 天才の手法』(日本点字制定120周年記念出版、C・マイケル・メラー著、金子昭・田中美織・水野由紀子訳、日本点字委員会発行2012年6月1日)を紐解きますと、点字が誕生してから公認されるまでの苦難、フランスの時代的背景やブライユの手紙による生身の彼がよく分かります。訳者あとがきには「フランスにおいても英米両国においても、ブライユの考案した点字がすんなりと受け入れられたわけではなかった。その点、日本では1890年(明治23)の点字翻案以来、文字など基本的な部分については何ら変更されることなく今日まで続いてきた。・・・イギリスに起こった線字戦争やアメリカに起こった点字戦争の類も、日本では経験しなかった。・・・教師と生徒が一丸となって、これからの視覚障害者の文化のために、少しでもよいものを創造しようと取り組み、努力した日本点字翻案当時の先達の叡智と決断に敬服するのみである」と綴られています。
これと同様のことを本研究会の岸事務局長も研究会や講演の場で幾度となく述べておられます。一例を引用してみましょう。昨年9月に行なわれた桜雲会主催の『楽善会訓盲唖院記録』翻刻に際しての記念講演の一節です。「点字を知る者は『暁天の星』ほどだった時代、・・・日本点字が翻案されて半年もたたない1891年春に、京都盲唖院は、倉次の日本訓盲点字を採用します。・・・このとき、京都が異を唱えなかったことが、アメリカのような点字戦争を未然に防いだわけですが、その根底には東西の信頼関係があったのです。実に幸福な旅立ちでした。東西はその後も、無益な対立に陥らず、協働を発展させました。それはまさに叡智の発露というほかないのではないでしょうか。明治の20年代・30年代にわたって、両校は、毎年のように数名の教員を派遣しあって、1週間、ひと月の長期間をもって、授業研究・点字の表記や指導法をめぐる共同研究を進めました。合間には桜見物や宴も催したと京都側の学校日誌に刻まれています」。傾聴に値する内容ですね。
私は1年の中で2月が最も好きな月です。きりっとした寒さの中にも、日に日に増してくる太陽の明るさ、そのコントラストが何ともいえない喜びです。遠い将来、過去を振り返った時、現在置かれている盲教育史研究会の位置が、季節で言うとこの2月であることを念じつつ、今を楽しんでいきたいと思っております。
翁等が「えいや おうや」で宮掃除 光の中に春を眺めつ
本文は以上です♪
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英語:Japan Society on the History of Blind Education
エスペラント:Japana Societo pri la Historio de Blindul-Edukado(ヤパーナ ソツィエート プリ ラ ヒストリーオ デ ブリンドゥール・エドゥカード)
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